謎めいた変貌と闇の中に隠された真実、尾形百之助の魅力に迫る
超主観的・ネタバレ注意。
金カムを見たのは2023の11月、アニメ版を三日ぐらいで一気に見たぐらいハマった。最初はどちかというと杉元の方が好きでした。尾形についてのイメージも悪役系に留まり、薄い印象でした。
それから、尾形に目覚めったのは、本当に不思議で、一瞬でした。
主に下の三つの部分に注目して語ってみます:
1.目
2.行動
3.裏
一つ目は、目もしくは目線です。
原作では最初の登場段階ではまだ、瞳に光を残してたが、再登場になった途端、真っ黒な目に変わった。それだけではなく、髪がたと顔にある傷痕などを含め、この変化たちが「尾形百之助」という人間を作り上げていた。外見での変化はもちろん内面的な変化に基づくことが多く、この時点で尾形が見る側の我々に初めて「表向き」のキャラクターを示した。
野良猫の目線、人嫌いの、面倒くさがりで、深い闇を感じるような、危険な目。もちろん、狙撃手ならではの獲物を狙う目でもあった。そういう彼の目に映る世界は、光には無縁だった。
それでも、覗きすればするほど、落ちていく心地が良かった。星が一つもない夜ならではの、静けさと寂しさを味わえるから。
二つ目は、彼の行動もしくは行動原理。
作中で全ての登場人物がそれぞれの過去を背負いながら、物語が進んでいく。もちろん重みがかなりある人が断然に多かった、戦争や歴史による影響が大きかった。第七軍団という武力集団に所属して、そこからの脱却、尾形は基本的どこにも長居せず、あくまでも個人で動いた。
尾形にとっての「居場所」の概念はなんでしょう。おそらく、ないでしょう。彼にとっての「居場所」はいつも転々と変わり、どれも一時的なものにしか過ぎなかった。彼にとっての人と関わりは苦手だった、だから不要な接触を避けた。また、全てのものを単純化する傾向があった。人を殺すことに、罪悪感の存在を否定し続け、自分の存在を証明する手段としてまた人を殺す。
生きて、自分の正しさを世界の正しさにぶちつけた。普通からかけ離れた思想だが、この思想が元に彼が取った行動の数々が、自己中心だけで済ませるものではなかった。
三つ目は、裏の尾形もしくは本当の尾形。
彼の最大の敵は、権利でも、戦争でも、過去でもなかった、自分自身だった。自分を騙しきれなかった。本当は、最初から気づいてたかもしれない、この悪の循環から抜け出せる瞬間もきっとあった。
怖かっただろう。本当に、これでいいのかって。慎重に、そういう「負ける自分」を闇の中に隠してた。だから、表の自分が「本当の自分」になればいいと思った。そのために、誰であろうと、なんであろうと、躊躇なく殺せるはずだから。
自分を見つけて欲しかった、ただそれだけだった。
最後に、
『ゴールデンカムイ』の魅力が多くある中、個人的に1番の醍醐味が生き様の描写だと考えている。尾形百之助というキャラクターが作中で特に複雑な存在だった。現実と作品は違うけれど、彼のリアリティーには美しいものがあることに変わりがないだろう。
このキャラクターに出会ったことが、祝福です。